kitokito大学で聞いた入海さんの発酵食品テンペ
「食」は、日々の暮らしの中で欠かすことのできないテーマ。
食べることは誰もが当たり前にしていることですが、食べるに至るまで様々な選択を経ていると思います。
どんなものを、どんな風に、誰と、どこで、いつ食べるか?
野菜一つとっても、誰が、何処で、どんな風に育てられたモノなのか?
加工品にしても、原材料は何で、どんな行程で、誰がどんな思いで作っているモノなのか?
選択を少し考えてみるだけで、当たり前になっていたコトやモノが、実は凄く自分を作っていることに気づくはずです。
今回掲載する企画は、kitokito大学の講師に、発酵食品テンペを製造、販売している入海 健さんをお招きして、テンペの魅力や、考え方をお伝えしていただきました。
第一弾は、テンペについて入海さんから伺ったお話を紹介してゆきます。
入海さんのテンペ
これが株式会社テンペストフーズで製造しているテンペ。
テンペとは一体どんなものなのでしょう?
もともとインドネシア発祥の発酵食品で、日本では「インドネシアの納豆」や、「畑のお肉」等と呼ばれています。
納豆は、”稲の藁などに住んでいる納豆菌を使って大豆を発酵させたもの”に対し、
テンペは、”ハイビスカスや、バナナの葉に住んでいるテンペ菌を使って発酵させたもの”です。
ちなみに、インドネシアでは、テンペを知らない人はいないというくらいポピュラーな食品で、
日本の納豆と同じくらいの消費率になっています。
テンペは、ハイビスカスの葉にいる菌で、オシャレな菌なんですよ。
インドネシアでは、皮を剥いた大豆をそのままバナナの皮に包んで販売されていたり、日本で言うと藁に包んだ納豆と同じような扱いをされてます。
うちのテンペは、明治大学で研究されていたテンペの製造行程を元に、大豆をひきわりにして、見た目も味も、より日本人好みにした美味しいテンペを作っています。
テンペの特長
テンペは消化吸収が良く、植物性たんぱく質、ビタミンB群、リノール酸、食物繊維、ミネラル、サボニン、イソフラボンなどを豊富に含んでいます。
抗酸化作用も強く、脂肪の酸化を防ぎ、高血圧・糖尿病・心臓病・ガンなどの生活習慣病予防には最適な健康食品です。
詳しくはコチラ
実際、入海さんのテンペは、予防医療に取り入れたいという病院のお弁当に使われていたり、こだわりを持った飲食店等、健康志向の高い人達の間で話題になっています。
発酵と腐敗
– 発酵は、人間にとって良い成分になってくれること –
発酵と腐敗って同じなんですよ。
微生物が食品に繁殖して、成分を分解していくことなんです。
僕がよく言ってるのは、
発酵は、人間にとってありがたい成分になってくれること。
腐敗は、人間にとってありがたくない状態になることなんです。
“発酵”や”腐敗”という別の単語も、微生物視点で考えると生きていることに変わりはなく、先人達が自然との共存の中で産んだ知恵なのだと感じました。
日本ではおなじみの味噌や、醤油、酒も発酵という現象がもたらしてくれた産物であり、
発酵食品一つとっても様々な微生物のおかげでぼくらの体の一部になっていて、食物連鎖の神秘を感じる行程です。
テンペって何?
テンペって不味いんでしょ?
って言う人が多かったので、アンテナショップの機能も兼ねて、発酵カフェ ハタケトという飲食店を作りました。
ここでは、テンペの食べ方や、興味を持っている人が実際にテンペを食べながらお話をするというような場所になっています。
食べた人の反応は様々ですよ。
美味しいです。とか
不思議な味だね。とか
まだまだ成功とは言えないですけど、そういう試みもあって卸先は確実に増えてきています。
ウチのテンペは癖があまりなく加工性に富んだ食品ですので、もっと一般的に普及させていきたですね。
入海さんの挑戦はつづく。
次回の連載は、実際にテンペを作り、食べる料理のワークショップレポートです。
お楽しみに!