伝承されてきた里芋、甚五右ヱ門芋のお祭り

採れたての甚五右ヱ門芋

室町時代から山形県真室川町の佐藤家で代々育ててきた一子相伝の里芋、甚五右ヱ門芋(じんごえもんいも)。
2014年10月4日(土)、真室川町の「まざれや」にて、「芋祭2014」が開催されました。

今年で5回目となるイベントで、人数制限がかかる程の人気企画となっています。
今回は、山形県内から190名以上、県外から70名以上、総勢260名以上の参加者が集まりました。
そんな人気のイベントに潜入した際のレポートを個人的な感想を合わせてご紹介させていただきます。


[主催者プロフィール]

satouharuki

森の家/佐藤 春樹さん

山形県真室川町の伝承野菜栽培農家「森の家」20代目の跡継ぎ。
室町時代から続く「甚五右ヱ門芋」や、山形県の在来種の米「さわのはな」を丹誠込めて作り続けています。

森の家 WEBサイト:http://www.morinoie.com/


この企画のメインは、なんと言っても”芋掘り体験”と、”甚五右ヱ門芋の芋煮会”です。
その他様々な催しが準備されており、地域の魅力が色濃く伝わる一日だと感じました。

それでは早速、イベントレポートです。

芋を掘る


甚五右ヱ門芋の生産地は、電線や下水などが一切通ってない森の中にある広い農地にあります。
大谷地という名のその農地には、とてもキレイな水が流れ込んでいるそうです。

畑に到着すると、そこには見渡す限り芋の葉がびっしりと並んでいました。
芋の葉がこんなに大きいものだったのかという驚きと同時に、周りの森の壮大さに言葉を失います。

森の家農地

数回に区切られた体験時間の中で、40〜60名の人が一斉に芋を掘りました。
芋掘りのレクチャーや、畑までの送迎を行ったりしていたのは、地元の人や、農家仲間の皆さん、県内の大学生達。
スタッフの人数も毎回増え、甚五右ヱ門芋を通してコミュニティがどんどん大きくなっていることも人気の要因の一つだと感じます。

芋堀りレクチャー

芋を介して人と人とが繋がり、そしてそれぞれの体験が伝えられて行く。
農家が何世代にもわたり栽培し、種子を継承してきた”最上伝承野菜”の新しい伝承のされ方なのかもしれません。

参加者の皆さんは、年齢、居住地、職種、目的も様々。
当たり前ですが、スタッフも参加者も見つめる先は甚五右ヱ門芋。
畑に足を踏み入れたときに感じる柔らかい土の感触。
この粘土質の土壌が、粘り気の高い柔らかな里芋を育ててきたのだそうです。

芋堀り体験

掘り出すと、種芋の周りにたくさんの芋がついています。
太陽と笑顔に照らされた芋が、この後どのようにして食べられるのでしょうか。

d47食堂のお二人
d47食堂のお二人

参加者の中には、渋谷ヒカリエにあるd47食堂スタッフのお二人も参加されていました。
その他にも、お二人のような飲食店関係の方も来ていたようです。
料理を提供する人も、生産現場や生産者を知ることで、料理に込める思いも違ってくるのではないでしょうか?
料理のプロとして食材を扱う人はもとより、日々の生活の中で食べる物が、”どこで・どんな風に・どんな人が”育てているのかを知って食べるということは、一つの豊かさの形なのではないでしょうか。

芋を食べる


空腹を感じて間もないお昼時、地元のおばあちゃん、おじいちゃんと大学生の皆さんが作った料理が出来上がっていました。

*芋煮

甚五右ヱ門芋とキノコの粘り気が、通常の芋煮よりもトロトロ。
芋祭りというだけあって、なべの中には芋がごろごろ。
そこには地元のお母さん達の、気持ちがこもったおふくろの味がありました。
芋の皮が薄いため、漉した時のような柔らかさを感じることができました。

芋煮会

*郷土料理

イベント前からずっと仕込んでいたおばあちゃんのお漬け物
朝から作ってくれた山菜の煮物や、在来のお米”さわのはな”を使ったおにぎり等
ここでしか味わえない美味しさと温かい雰囲気が会場を彩っていました。

ふるまい料理

*天然鮎の塩焼き

森の家佐藤さん自宅のご近所にお住まいのアキオさんが、ヤナで穫った天然鮎を自ら炭火で焼いてくれました。

アキオさんは言います。

俺の穫る鮎は、すんげぇ美味いんだ。
養殖じゃ味わえねぇ。
食べるタイミングもあるから、普通は酒飲む前に食わすんだ。
前に東京から来た板前は、俺の焼いた鮎が日本一美味いって言ってだっけ。
今でも電話かかってくる (笑)

アキオさんが焼いた天然鮎

その言葉通り、今までに食べたことがない美味しさ。
じっくりと火を通した鮎は、臭みも少なく、僕の中でも日本一の美味しさでした。

地域を味わう


芋掘りや、料理の他にも地域の魅力が盛りだくさん。
会場となった、まざれやの体育館では「森市」が開かれていました。
地域の特色を濃く出したマルシェです。

旬の最上伝承野菜や、真室川町の美味しい食べもの、昔から伝わる山葡萄の蔓細工、オリジナル楽器など、
手仕事の品々が各ブースに並んでいました。
来場した方々は、出店者と会話を楽しみながらこの地域の良さを感じている様子です。

森市の様子

(※出店者さんのリストは、芋祭り公式ページでご確認下さいね。)

聞いて、体験して地域を知る


冬になると雪深くなる最上地方。

一昔前までは、冬期になると稲藁を使って様々な道具を作るというのが農家の当たり前でした。
現在ではモノが増え、藁を使った手仕事の文化は薄れています。
そんな手仕事の体験が、芋祭で準備されていました。

小野みえこさんが、稲藁を使った「しめ飾り作り」を教えています。
体験に参加する人のほとんどが、藁細工未経験の方ばかり。
皆さん、真剣な表情でしめ飾りを作っていました。

しめ飾り作り

おもしろい!
帰って自分でも作ります!

岩手県から参加者していた若手農家さんの言葉が印象的でした。

取材しきれなかった他の催しもとても魅力的な内容だったようです。

芋祭まとめ


芋祭は、甚五右ヱ門芋の美味しさの理由を、体験して味わって感じることができるイベントです。

本記事では、甚五右ヱ門芋の特色を伝えきれていませんが、地域の協力者の存在が、甚五右ヱ門芋と森の家 佐藤さんファミリーの魅力を物語っていたように感じます。
作り手と参加者の距離を縮めるだけでなく、この地域全体の文化を伝える役割を果たしていると感じました。

この一日、会場には真室川町の、ひいては最上地方のリアルな今がありました。

次年度の開催があれば、迷わず参加をおすすめします。

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